「ねぇ、せんせい みてみて!」
2歳児 女児の4月末ごろ
ある日、おやつを食べた後に、天候がよかったので、屋上デッキで遊んでいた。M児は保育者Kのそばにやって来て、保育者Kの前にじっと立つ。M児は1歳児から入園していたが、進級に伴って、環境の変化により、日々の不安定さが見られていたので、保育者Kはスキンシップをとろうと、「Mちゃん、一緒に遊ぼうよ」と、声をかけて、両手を伸ばした。しかし、M児はその言葉を聞いてニコッとし、保育者Kの顔を見ながら走り去っていった。そのあとまた、保育者KのそばにM児がやってきたので、そのやり取りを繰り返して遊んだ。
次の日も、保育者Kの前にM児がやってきたので、昨日と同様に「Mちゃーん!」と言いながら追いかける遊びをした。何度かすると、今度はM児の方から保育者Kのもとへ、走って体当たりをしてきた。M児の姿をギュッと抱きしめたり、脇をこそばしたりして、スキンシップをとった。
一週間程度、毎日そのやり取りをして遊んでいたある日、同じ2歳児のH児とM児は四つん這いになり「わんわん!」と、犬になって遊びだした。犬になって遊ぶ友達を見て、M児は「こっちよ~」と言いながら、そばに落ちていた葉っぱを手に取り、餌に見立てて犬になりきっている友達に食べさそうとする仕草を見せた。
M児(犬)「わんわん」
H児(飼い主)「かわいいわんちゃんね。おやつあげるわね~」
(と言いながら、葉っぱを手に取り、犬の口にもっていき、食べさせようとする)
M児(犬)「ありがとうわん」
H児(飼い主)「さぁ、ご飯もいるでしょ?つくらなくっちゃ」
(植木の前でつくるふりをする)「はい、どうぞ」
M児(犬)「ありがとうわん」
H児(飼い主)「お散歩も行きましょう」と言い、M児を引っ張るふりをして歩く。M児はH児の歩くスピードや方向を合わせて一緒に動いていた。
考察
- 馴染みのある保育者が思いを汲み取り、M児のペースに合わせてありのままを受け止めたことで、安心感を得られ、自発的な活動としての遊びを始めることができたと考えられる。
- 簡単なごっこ遊びではあるが、友達の思いを2歳児なりに共有し、同じようなイメージをもって面白さを感じながら楽しんで遊んでいる。これは、子どもたちなりに工夫したり、協力をしようとしたりする姿や、簡単な言葉のやり取りを通して、伝え合いを楽しむ姿であると捉えられる。
このような姿から、乳幼児期に遊びの中の学びを汲み取るためには、安心できる環境があって初めて自分のしたい遊びを見つけたり、素直に発揮したりすることができるようになることがよく分かった。
聖三一幼稚園 幼稚園型認定こども園 http://www.holy-trinity.ed.jp/